さんぽみちのちしつColumn

第2話 ~平野山のふしぎ~

2021年03月31日(水) 

 平野山は寒河江市の西部にあり、その名が示すとおり平べったい丘陵地で、東側斜面一帯がなだらかなさくらんぼ畑となっている。実はこのダラッとした斜面、河岸段丘に分類されており、かつて平野山がほぼ水没する高さまで河川の水位があった事になる。だが本当にそうか?


 平野山の形を考えてみよう。北側を寒河江川、南側を最上川によって浸食された丘陵であるが、その東側がストンと直線状に無くなって、現在JR左沢線や国道287号がその山裾を真っ直ぐ走っている。上下両方から浸食された丘陵地であればいわゆる紡錘形の尖ったしっぽが下流側に残るはずであるが、平野山にはそれが無い。また、通常の河岸段丘は河川の浸食と共に、河川沿いに何段ものテラス状の段々を造っていくものだが、平野山のそれはなだらかな単斜面であり、ちっとも段丘らしく無い。


 実はこの平野山、長岡山と同様にその東側に活断層を伴う隆起丘陵であると私は見る。“活断層”とは数十万年前より現在までの近年、活動した形跡のある断層の事であり、今後とも変位する恐れがあるものを云う。
長岡山を含む山形盆地西縁断層帯の変位速度は1.4m/千年、活動する間隔は平均1.9千年とされている。従って、活動期間を50万年とすればその変位量は700mにも及ぶ。平野山もこれと同程度とすれば、平野山の隆起と東側(中央工業団地側)の沈降面の高低差が数百mあってもなんら不思議は無い。実際は平野山の頂部だけがポコンと突き出た古代の寒河江川扇状地が、約2000年毎に、河川の堆積物を乗っけたまま、ズリッズリッと隆起して、なだらかな段丘斜面を生成し、山稜の北と南は河川の浸食を受けて急になったのだろうと考える。


 平野山に限らず寒河江市周辺には断層が影響したとみられる地形が数多い。既知の断層のみならず隠れた断層による大地震がいつどこで発生してもおかしくは無い。

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