2021 9月のアーカイブ

SPARK Vol.31

9月に入り天気の良い日に外で過ごすには絶好の季節になりました😊

窓から入る涼しい風に秋を感じるようになり、つい最近の夏の暑さが嘘のようですね。

涼しくなったとはいえ、まだ気温の高い日があるようなので水分補給は忘れないようにしましょう!

さて、SPARK Vol.31が発行されました。

春から弊社で育てていたトマトについて、栽培方法の違いで味がどう変わるかなど載っています。

是非ご覧ください🍅

 

   

カテゴリー:SPARK

第18話 ~絶景の対価~

 米沢市から西吾妻スカイバーレーで県境を越してすぐの裏磐梯地区は、我々山形県人にとっても魅力的な観光エリアのひとつである。濃密な樹林と散在する湖沼のコントラストは、季節毎に違った風景を見せ、訪れる人々の目をを飽きさせない。裏磐梯最大の湖・檜原湖での、全面凍結した湖面に穴を開け、ワカサギ釣りに興じる様子は真冬の風物詩としてつとに有名である。


 県境を越えると檜原湖の背景に雄大な磐梯山を望むことが出来る。磐梯山は表の猪苗代町側から見ると整った穏やかな地貌であるが、檜原湖側の裏磐梯は中央が大きく馬蹄形にえぐれた荒涼とした光景を見せつける。この山は2~3万年毎に、活発な火山活動を繰り返す複合成層火山(活火山)であり、三万年前の噴火では山の南西側、現在の磐梯町方向へ大量の火山砕屑物を発生させ、これが猪苗代湖生成の発端となったとも言われている。


 明治21年7月15日の朝に突如発生した明治の大噴火は僅か2~3時間ほどの間に山の地形を大きく変えるほどの山体崩壊を生じた。崩壊土量は15×10の8乗立方メートル(一辺約千百mの立方体に相当)に達し、その膨大な土砂が土石流やラハール(火山泥流)となって山塊東側の長瀬川とその支流部に流れ込み周辺を埋め尽くした。裏磐梯の主な湖はその影響で生成した堰止湖であり、中でも檜原湖は火山性の堰止湖としては日本最大規模を誇る。


 この磐梯山の大噴火は明治政府樹立後初の大規模自然災害であり、国が主導して研究やその後の復興事業が進められた。東京帝大(後の東京大学)の教授や諸外国の研究者がこぞって調査に参加し、国内の火山で近代的な調査・研究がなされた初のケースとなった。しかしながら、各研究者がバラバラに成果を発表したため、その影響を引きずり未だに噴火のメカニズムなどに見解の統一がなされていない点があるという。


 我々が観光で訪れる風光明媚な風景や自然が作り出す造形美には、激しい火山活動や地震・洪水など、災害の爪痕であることが少なくない。明治期の磐梯山大噴火においても数多くの村落が土砂に埋まり、あるいは湖底に沈み、同時に数百人の犠牲者も出している。当時、火山研究の草創期で噴火の前兆さえ認識されていなかったためこれが未曾有の大災害に繋がった。しかし、観測網が整備されたはずの現代の御嶽山の噴火(平成26年)でも数十名の犠牲者を出したことは記憶に新しい。裏磐梯の自然豊かな景観の礎には凄惨な大災害があったこと、自然の脅威は今もなお人間が推し量ったり、ましてやコントロールできるものでは無いことを努々忘れてはいけない。

 

カテゴリー:さんぽみちのちしつ

メディア掲載情報を更新しました。

令和3年9月5日の山形新聞に掲載されました。

 

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