さんぽみちのちしつColumn

第1話 ~断層と地形~

2021年03月31日(水) 

 写真は山形自動車道工事に伴う高瀬山の法面に表れた断層露頭であり、10mほどの高さの法面の中央部に明瞭な逆Z型の地層の食い違いが表れている。


 山形盆地の西側には日本でもかなり活動性の高い活断層が潜んでおり、写真の断層露頭もこれに関連するものの一つとみられる。寒河江地区ではこれに最上川沿いを北上する長井-左沢断層が合わさるため、ちょっとした断層の巣のような状態になっていて、三紀層(岩)の出現深度の凸凹がすさまじい。今の寒河江は、この凸凹の岩盤を河川の土砂が埋めて、人がなんとか住めるような地形になっているだけに過ぎない。


 弊社の技術部長を務められていた故・清水貞雄氏は「長岡山はなぁ、平野山がせり出してきて足下が陥没し、シーソーのように逆に跳ね上がったんだよ」と話されていた事を思い出す。長岡山は非常に軟質な凝灰岩類が多く、寒河江川にさらされながらこの脆弱な丘が残った要因は氏が言われるような活発な隆起運動でもなければ説明しにくい。ちなみに東根の若木山や天童の舞鶴山などは、同じ市街地に接する丘陵地でもあちらは小型の火山であり、成因は単純で地形も単調である。長岡山や高瀬山のように断層に起因する丘は、眺める方向によって一つ一つ違った表情を見せ、その麓の地形や地質にも複雑な影響を与えている。


 弊社業務において地形の変化や地表の地質により地下構造を類推する作業は私の仕事の一つの柱でもあるが、寒河江地区の場合、これにさく井や地質調査などによる豊富な地質資料が加わる。タイムマシンがない今、確かめようはないが、こうやって長岡山が隆起して、ここがドガンと落ち込み、段差が生じて側方浸食を受けて・・・などと、一大スペクタクルを脳裏に3D連想して一人ニンマリ・ワクワクとする私は、何か変なのかも?

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