2022 10月 07のアーカイブ

SPARK Vol.44

10月に入り、いよいよ秋めいてきました!

この間、公園を散歩していたら金木犀の良い香りがしてきて、秋をたくさん感じることができました🍁

さて、今回のSPARK Vol.44は、活躍する女性たち第三弾!!、さんぽみちのちしつ、クローズアップ現場などなど為になる情報が沢山あるのでぜひご覧下さい😊

 

カテゴリー:SPARK

第29話 ~日本の継ぎ目はどこ?~

 Vol.26の稿で「棚倉構造線」の話をした。棚倉構造線は中央構造線やフォッサマグナに並ぶ大断層で、北関東・上越と東北・北日本の地質的な境となっている。


 昨年、小国町の川沿いでボーリング調査を行う機会があった。調査地点は既存の調査データといくらも離れていないのに全く違った地層が現れ、大いに面食らったものである。既往の調査孔は上部の河成土砂を除けば全部「花崗岩類」であった。新たな調査孔の岩は上から、凝灰岩・ホルンフェルス・凝灰岩・黒灰色の粘土・花崗岩とめまぐるしく変化する。花崗岩は7千万年くらい前にできた基盤岩。その上に重なる凝灰岩は、1千5百万年くらい前の火山起源。間に挟むホルンフェルスは日本列島が大陸にくっついていた時代(2億年以上前!)の泥岩・砂岩のなれの果て。もう地質年代がぐっちゃぐちゃ。途中に50㎝もの厚さで挟む粘土に至っては、一体何なのかすらも分からない。


 いろいろ調べてみると近くに大きな断層があるとの情報が。もしかしたら断層の真上を掘ってしまったんじゃないかと考え、作成した断面が添付の図である。一番下は花崗岩。その上に断層で凝灰岩が斜めに乗っかった構造でホルンフェルスは凝灰岩ができたときに転がってきた岩塊だろうと推定。そして岩に挟まれた粘土は断層粘土じゃないかなと。断層粘土は断層の滑った面で鉱物がすり潰されてできるもので、厚さ10㎝くらいのものまでは見たことがあるが、50㎝の厚さの断層粘土など寡聞(かぶん)にして聞いたことが無い。まあ、断層粘土か否かは特有の鉱物が生成されるので調べれば分かるらしいのだが、今はモノが手元に無いので確認のしようも無い。

 そして更に奇妙なのがこの断層。東北地方は東日本大震災の起因にもなったプレートの動きによって、随時、東西方向に強い圧縮力を受けている。なので一般的に断層は、片側の地層の上にもう一方の地層がのし上がる「逆断層」になる。しかし図示の断層は、右側の凝灰岩が滑り落ちる「正断層」でないと辻褄が合わない。50㎝もの断層粘土を持つ大規模な正断層など、東北にあるのかと訝(いぶか)しく思ったが、調査の目的にはそんなの関係ネェので、その時はことさら深くは追求しなかった。

 そして、ここからが持論。大昔、日本列島が大陸から離れて日本海が生まれた時代、活発な海底火山でグリーンタフ(緑色凝灰岩)ができた。当時の日本列島は東に引っ張られつつ沈降や隆起を繰り返して今の列島の形に収束していった。隆起と沈降の境が冒頭に述べた「棚倉構造線」などの大断層。引っ張られつつできたので「正断層」。そして小国町の調査地は棚倉構造線の北方延長上。なんと齟齬(そご)無く見事に結びつくのだよ。どうやらオレは日本の継ぎ目を掘っちゃったらしい。2億年の時空を旅する一大スペクタクルに、鼻腔を広げ一人興奮している変な男がここに居た。

 

カテゴリー:さんぽみちのちしつ

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